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主人公なき世界

農場で作った品物が売れている
注文しようとしても電話がつながらないくらい



農家の人の作ったものを多数の人が喜び
われさきにとほしがる

一方で産地直接販売をするのは難しいらしい
こういうことが起こるのは珍しいのだろうか

思えば今からせいぜい200年ほど前のこと
ほとんどの人々が農家だった

自分の家で自分が必要なものを作っていた
それを蓄えて

毎年暮らしをよくしようと工夫していた
自分で作ったものが自分の命となった

しかし何かが起きて
多くの人が耕す土地を失った

多くの人が何も持たない人となった
物を持たないというのではなく

大地とのつながりを強制的に断たれた
だれもが持っている大地とのつながりを

人為的にうばいとり
土地とつながらない人間にした

人は地球で物を生み出しながら
自ら生きることができていたのが

まず自国の民は自国の土地を失った
そして主人公だった人々はわき役となり

国の土地は何も作らない人が何も作らないために
「所有した」

土地は所有できることになった
すなわち征服者の力が自動的永続になった

征服者が武力で土地を守らなくても
国が代理して守るようになりとても楽になった

そして主人公はみな右往左往して
なぜ自分は何もできずなにも持たず

食べることさえも不自由になったか
いつも不思議に疑問に思うようになった

しかしあなたたちはもう主人公ではないよ
あなたたちはそんな能力がないのだから

「愚鈍なのだから」
百姓にすぎなかったのだから

田舎者だから
ダサいから

そうして次々と人々は土地を離れ
誰か他人のために手を動かすことになった

その他人はかつての土地の人たちを
ただ労働力という観点だけから

筋肉の力を生み出させるために
心臓や肺の動きを止めないようにしていた

さもなければ全て殺戮してもよかったのだが
物を生み出してもらうのも便利だった

それに欲望を満たす必要から
子孫を残していく必要から

多数の脇役がいて隷属しているという状態が
エゴを満たすものだったから

それに子どもを作ってもらうことにも必要だったから

主人公がいないがらんどうの土地が延々と広がり
人々は土地の一部に押しやられ

狭い所に閉じ込められて能力もなく
自分たちをとても弱く愚鈍な存在と感じるようになった

数百年という長さにわたって

やがてその国の人々がみな主人公をやめた後
征服者たちは他の国まで出かけていって

同じことをしたのだが
急がなければならなかった

他の征服者が来る前に仕事を終えるため
たくさんの殺戮を行った

恐怖が必要であり
宗教が必要であった

その国の人々を主人公から
愚鈍な無気力者にするために

短期的な手段と
長期的な手段とを

本国で熟達した手腕を使って
おりまぜながら

だんだんに洗練させながら
しかし基本は同じ繰り返しを行ってきた

土地の主人公もいなくなったし
身体の主人公も本人ではなかった

自分のために働くことがなくなり
自分を治療することもできなくなった

宇宙から生まれた知恵も奪われた
結婚と家庭制度によって生命の自由が奪われた

宇宙から、土地から、身体から
主人公がいなくなった

これが人間の歴史といわれるものだ
農家だった人々が農地に暮らす前

人には農地もいらない時があった
森や川から食べ物を求める

必要なものが必要なだけあったから
それを自分の手で自由に造り変えたらよかったから

科学もあり
知恵もあった

しかし数千年まえのその時代から
何かがあって

人々は農家になった
その時家族というスタイルが入ってきた

その時地球は主人公を一部、失った
そして土地から、身体から、主人公は失われ

全面的な喪失がまもなくやってこようとしている
一方で人々は豊かになったと思っている

自らの手で食べ物を作らず
自分の身体にふれることもなく

土のうえで安らぐこともなく
空気の香も楽しまず

そして恵まれたと思いながら
意味のわからない暴力や戦争を見たり

仕事を失ったり、ひどい病気になったりしている
そして私たちは主人公ではなく

何もない
この事実に気づけ

この世界から追放されてしまっていること
与えられたものがすべて奪われたこと

主人公なき世界が破壊されるにまかされていること
主人公なき身体が病み破壊されるにまかせていること

いったんみさえすればごまかしようのない
その明らかな事実に気づけ

気付け!
目をさませ!

あなたは主人公だ
そして主人公で以外ありえない

あなたにこの世界の全てが与えられた
あなたの意志をこの世界は待っている

あなたの意志のままに歩きまわることさえ
もうできなくなっているのはなぜだろうか

あなたが入ることも使うこともできない
場所や物ばかりに占拠されているのは

それどころか誰かの思う通りに動かなければ
抹消されてしまうような組織や構造になっているのは

すべてが根拠なきことだ
あなたが主人公だ

主人公の帰宅をまちわびている
ホームがここにある

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2009.01.13 | | コメント(0) | トラックバック(0) | さかさまワールド

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